期間限定恋人ごっこ【完】番外編
家に入ってからもお風呂に入ってからも歯磨きをしてからも、布団に入った今でさえも額が熱い。
『……っ』
その訳はエントランスでも別れ際のこと。
「じゃあまた明日」と言って背を向けた私はエレベーターに乗ろうとした時、少し高い位置でチュッと音がした。
「じゃあな」
と去っていった誠人は私の額にキスを1つ落としていった後で…私の顔は遅れて顔に熱を持たせた。
その時の感触が布団に入った今も残っている。
『あそこまで恋人のフリしなくたっていいのに』
条件でキスはしないって言ったでしょ、と言ったら唇じゃないからいいだろ?と言い返されそうだし。
それに…誠人のキスは嫌じゃなかったりする。
何て言うんだろう、そう犬とチューするような感じ。
じゃれあうというか犬の構ってちゃんをしてあげるというか。
とにかくそんな感覚なんだ。
『もうやめやめ!早く寝よ』
私は額にされたキスを忘れるかのように意識を手放した。