姉のカレシの、闇に溺れて



 ✥✥✥



 南瀬くんの机で南瀬くんと一緒にお弁当を食べる。


 南瀬くんの弁当箱大きいな。やっぱり男の子だ。


「南瀬くん、卵焼きあげる」

「ん、サンキュ」


 美味しそうに卵焼きを頬張る南瀬くん。
 …………やっぱりやめよう。この笑顔を壊してまで言うことではない。


 黙々とお弁当を食べていると、『あのさ』南瀬くんが口を開いた。


「姉のカレシが来たって言ってからやっぱり元気ないよ? 何かあったんじゃないの??」


 …………………やっぱり鋭い。
 大丈夫。それとない事を相談すれば気づかれない。


 私と悠一さんの関係は気づかれるワケにはいかない。


 誤魔化すように相談してみる。

「……あのね」

「うん」

「お姉ちゃんから、カレシがイけないって相談されて……私、上手く答えられなくて」

 こんな事相談して、絶対返事を迷わせてしまう。
 だけど、これ以外の相談する理由が見つからなかった。


 悠一さんがあの夜、お姉ちゃんに本音を吐いただけで。


 本当はお姉ちゃんから相談なんてされていない。だけど、疑う南瀬くんに本当の事を言えるはずもなく、嘘を交えながら相談する。


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