姉のカレシの、闇に溺れて
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南瀬くんの机で南瀬くんと一緒にお弁当を食べる。
南瀬くんの弁当箱大きいな。やっぱり男の子だ。
「南瀬くん、卵焼きあげる」
「ん、サンキュ」
美味しそうに卵焼きを頬張る南瀬くん。
…………やっぱりやめよう。この笑顔を壊してまで言うことではない。
黙々とお弁当を食べていると、『あのさ』南瀬くんが口を開いた。
「姉のカレシが来たって言ってからやっぱり元気ないよ? 何かあったんじゃないの??」
…………………やっぱり鋭い。
大丈夫。それとない事を相談すれば気づかれない。
私と悠一さんの関係は気づかれるワケにはいかない。
誤魔化すように相談してみる。
「……あのね」
「うん」
「お姉ちゃんから、カレシがイけないって相談されて……私、上手く答えられなくて」
こんな事相談して、絶対返事を迷わせてしまう。
だけど、これ以外の相談する理由が見つからなかった。
悠一さんがあの夜、お姉ちゃんに本音を吐いただけで。
本当はお姉ちゃんから相談なんてされていない。だけど、疑う南瀬くんに本当の事を言えるはずもなく、嘘を交えながら相談する。