王女ちゃんの執事1『で・eye』加藤さん、きれいです。
 目の前で、完ぺきストライクな女に泣かれているのに、おれが頭に浮かべていたのは、めちゃくちゃ気にくわない男・町田。
 くそばかやろう!
 だからこんなことは、おまえの王女さんに頼めって言ったんだ。
 おれに女の気持なんか、わかるわけないだろが。
 わかったふりしろってか?
 くそっ。
「だから中出しなんかさせたのか? え? 妊娠するかもしんねえって、わかってて! ゴムもさせずにセックスしたのか、おまえ!」
「だ…って……。だっ、て……」
「うるせえ! 1回、死んでこい、バカ女!」
「ひ…ど……」
「…………」
 ああ、ひどいさ。
 おれは冷血漢だ。人非人だ。
 目の前で女に号泣されて。
 それを冷静に見下ろせる鬼ちくしょうだ。
 だから?


 五十嵐は赤ん坊のように声をあげて泣いている。
 おれは――おれの腕は――、そんな五十嵐を抱えて怒っている。
 ――町田っ!――
 許さねえ。
 こんなことに、おれを巻きこんで。
 絶対!
 絶対、許さねえ。
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