☆表の顔と裏の声★
「実はね、裕也君は先生のお友達の息子さんで
小さい頃からよく知ってるの。以前実習で七海ちゃんの声が聞けて凄く喜んでたんだけど、最近病院に来ていないって知ったら、心配してたのよ」

裕也が、私の事をほんの少しでも想ってくれていたんだと分かっただけで、とても嬉しかった。

【せっかく声が出そうだったのに、病院に来なくてごめんなさい】

「謝る事はないのよ。誰だって色んな気分になるんだから。またゆっくりやっていきましょう」


それから私はまたカウンセリングに通い始め、
言語訓練も真剣に取り組み、受験の頃には囁き声が出せる事も増えてきていた。
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