吐息
いや、帰る場所なんてないくせに。
「はは……バカみたい」
歪んだ笑みを漏らすと、私は手の中にある万札の固まりをぐしゃっと握りつぶした。
ーーピロン。
と、LINEの通知音が鳴りひびく。
その音に、私は起き上がった。
ソファーに置いてあるバッグからスマホを取り出し、タップする。
LINEの送り主は、飛鳥さん。
『ホテルの入り口付近で待機中。終わったら、出てきて』
なんの変哲もない文だけど、それを打ち込む飛鳥さんの姿を思い描くだけで、冷め切っていた心に火が灯る。