吐息
グラスをそっと傾けると、ふたたびカクテルを飲み込む。
「それにしても、華さん、すごいわ」
私は首を捻った。
「なんのことですか?」
「んもぅ、とぼけないでよ。最近、入ったばかりなのに指名もらっているそうじゃない♪」
「ぇ、あ……いえ、そんなことは」
「あたし、尊敬してるのよ? なにがってそれは……」
声が低くなっていく。
そして、彼女は私を憎らしげに睨みつけてつづけた。
「……人の指名客を平然と奪うようなことができるあなたのこと」
鋭い視線が突き刺さる。
ドスの効いた低い声にゾクっとした。