王女ちゃんの執事2『ひ・eye』焼きそばパン、リターンズ。
「木村んちのお兄さんて、むかしから近所で有名な秀才でね。身体が弱かったせいもあって、手のかからない(こう)ちゃんはほったらかしで、お母さんはお兄さんの世話ばかりしてた」
 浩ちゃん、ね。
 愛されちゃってんだな、木村。
「浩ちゃんだって、ウチに受かったんだから頭はいいのにさ。自慢するのはいま早稲田の政経にいるお兄さんのことばかり」
「…………」「…………」
「うちのお母さんにも、お兄さんの自慢話をして。お兄さんをほめるために浩ちゃんを、ダメな子、ダメな子って、けなすの。…あたし浩ちゃんの同級生だよ?」
「…………」「…………」
 親だからって子どもを対等には愛せない。
 そこは別に、いいんじゃねえの、と思う。
 ひとの好き嫌いはあって当然だ。
「あのひとが浩ちゃんをほめるのなんて、あたし、聞いたことないよ。浩ちゃんは絶対、お母さんの悪口を言わないけどさ」
「…………」「…………」
 そこが問題だ。
 おれだって母親と父親に優劣をつけよと言われれば、パートで働いているのに洗濯も掃除もしてくれて。
 そのうえ、そこそこうまい飯まで作ってくれる母親のほうが格上だ。
 直接的な恩恵を受けてるからな。
< 23 / 37 >

この作品をシェア

pagetop