マネキン少女
守られる
得体の知らない薬を飲まされた事を、痛い程実感する。


寝ても寝ても、突然襲われる吐き気に目を覚ましてはトイレとお友達状態だ。


学校は休みたくないが、ギブ状態で。


「今日は体調が悪い……」


朝食を食べさせる為に声を掛けてきた、おばさんに返した言葉がこれ。


その後寝込んでいたが、お昼には体調が良くなり学校に向かった理由は単純過ぎる。


それは、ヒロに会いたいから__


昨日ヒロは屋上に来てくれたから、今日は来ない確率の方が高いのに、わずかな可能性にでもすがりついてしまう。


会いたい__。
ただ、それだけ。


学校に着いたタイミングは皆が給食を食べ終わった頃。


私が向かう先は屋上でぼやーっと空を眺めた。


ヒロは来ないだろう。
諦めながらも屋上に続く扉を眺め、ドキドキしてしまう。


目を離すことなく見つめていると、扉がゆっくりと開いた。


「よっ!」
「よっ!」


2日連続でヒロと話せる事が、嬉しくて飛び跳ねてしまいそうだ。


「今日は来ないかと思った……」
「るるちゃんが、俺の事を待ってるかなって思って!」


そういえば、そんな事を言ったっけ……

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