マネキン少女
前以上に稼げるようになったら、中学を卒業と共に此処を出るんだ。


働いていれば、それも許される。


事務所に所属して直ぐに宣材を取り、ティーン雑誌のオーディションに向かう。


私に待っていたのは[合格]の2文字で、読者モデルから専属モデルになれた。


その事実を1番に伝えたい相手は、ヒロ。


ヒロはスマホを持っていないから、学校でしか伝える事が出来ないけど、ヒロの家の周りをうろついていれば会えるかも知れない。


そんな考えが、脳裏を過ぎる。


気が付けば、家を出てヒロの家に向かっていた。


もしかしたら、会えるかもしれないなんて思ったらドキドキが止まらない。


ヒロの家の周りをウロいついている自分を、客観的に見たらただのストーカーだと気付いた瞬間だった。


突然、ヒロの家から怒鳴り声が聞こえ、血の気が引いてゆく__


ヒロが殴られる。


気が付いたら、ヒロの家の敷地に足を踏み入れ、窓ガラスに近付いている私が居た。


閉まったままのカーテンのせいで、中の様子は見えない。けど、時より何かを蹴っているような音が聞こえ血の気が引いた。


思い出すのは、服で隠れて見えない部分に紫の花びらが鮮やかに咲いたヒロの体で涙が止まらない。




< 127 / 181 >

この作品をシェア

pagetop