マネキン少女
「てか、るるちゃん朝早くない?」
「あ、うん。今日はやたらと早く目が覚めて暇だったから!!こんなに早く学校に来ちゃった!!」
「俺も、似たような物!」


ヒロがにぃーっと笑ったが、傷が痛々しい。


守ってあげれたら__。


そんな感情でいっぱいいっぱいになるが、私は無力だ。


でも、放っては置けない。


「病院行った?」
「大丈ー夫!!」


そう言ってケラケラと笑う、ヒロの手を掴む。


「せめて保健室に行こう!」
「やだよ!だって、あと半年もすれば自由になれるんだよ!!」


自由と言うことばが、私達の運命を狂わせてゆく__


この時は、そんな事知る由もなかったんだ。


「そうだね……」
「中学卒業したら、まずは寮付きの仕事探すんだ!!」
「寮付きの仕事なんて、有るんだねえ!」
「うん!派遣だと給料高いから数ヶ月だけ我慢して寮で働いて、金貯めたらまずはるるちゃんを迎えに行くよ!!」


ふと思った。


「妹さんは、大丈夫?」
「あー!妹は可愛がられてる……」


そっか、実の娘だから。


心配して聞いたはいいが、ヒロの表情があまりに寂しそうで、ヒロの中に土足で踏み込んだ気分に陥る。
< 148 / 181 >

この作品をシェア

pagetop