マネキン少女
「まだ、寝ているのかな……」


そんな疑問を持ちながら、学校に向かうと教室に荷物を置いて、お気に入りの場所である屋上に向かった。


ギギギと悲鳴を上げながら開いたドアの先には、ヒロの姿が有りときめいてしまう。


しかし、冷静にヒロの顔を見たら、そんな気持ちは吹き飛んでしまう。


今まで、服で隠れる場所だけを殴られていたヒロ。


「よっ!」


なのに、今日は目の周りが紫に変色して腫れ上がっている。


「そ……れ、どうしたの!」
「あー!チャリ乗っていて転けた!!てか、俺に似たキーホルダー連れて来た?」
「あ、うん。ポケットに入れてるけど……」


て、チャリに乗っていて転けただなんて有り得るのだろうか。


「昨日……。殴られたの?」
「いや、まじでそれはない!!アイツ、人に見られる所は殴らねえから!!根性ねえ訳よ!!」


そう言ってケラケラ笑うから、殴られていないのかも知れないなんて思ってしまう。


「そか……」
「あー!余計な心配しないでも大丈夫だよ!」
「なんかあったらすぐに教えてね!!」


そう言ったものの、私じゃヒロの力になれない。その、現実に苦しめられる。
< 147 / 181 >

この作品をシェア

pagetop