マネキン少女
不安
教室に入ると、皆が私を見てざわめいている。


「るるちゃん!!」


名前を呼ばれて振り向いたら、笑顔のりんがペンケースを片手に立っていた。


「CMみたよ!!で、ね。これ、買っちゃった!!」


そう言ってペンケースから、私がCMしたボールペンを出す。


「これ、可愛いからずっと買うか迷ってたんだよ……!」
「可愛いよね!ちょっとお値段張るけど……」
「うんうん!るるちゃんがCMしていたから、ついつい買っちゃったよ!!」


その言葉が死ぬ程嬉しい__


「ありがとう!」
「いやいや!買ったら使い心地が気に入っちゃって!買って正解って感じ!!」


気が付けば、色んな子が私がCMに出たペンを持っていた。


学校だと友達馴染みで買ってくれる子がいるけど、CMを見ただけの人が買ってくれたら嬉しいななんて思ってしまう。


せっかく、私をCMに起用してくれたのだから結果を出したいなんて夢を見てしまう。


「うんうん!書きやすいよね!」
「そうなの!デザインも可愛いから、沢山使っちゃってる!!」


ユリカとは絶縁して学校でも見かけない。


少しだけ切ないけど、友達に囲まれて幸せだ。


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