マネキン少女
学校が終わると家に帰って、服を着替える。


帽子にサングラスで変装して、歩いて行ける範囲内にある本屋さんに向かった。


私が載っている雑誌。
CMしたペン。


それらを見て誰か買ってくれないかなぁ。なんて、思ってしまう自分かいる。


年齢が近い女の子が雑誌やペンのコーナーに行くだけで、心音が高なった。


楽しそうに話している、女子中学生4人組が私がCMしたペンを手に取り、レジに向かうのを見ていると心が跳ねる。


泣きたくなる程、購入して貰った事が嬉しい。


もう、いきなり飛び出して『ありがとう!』と言い残して去りたいくらい喜んでしまう始末だが、それをしたらただの変人だ。


そう言えば、今日は昼休みにヒロを屋上で待っていたが来なかった。


毎日来ていたのに。


でも、学校にも来ていなかったから風邪でも引いたのかも知れない__


帰り道にヒロの家に向かう。


風邪だったら、レトルトのお粥でも差し入れようなんて思った。


しかし、風邪を引いて寝込んでたら偶然に会える事なんて有り得ない。


まあ、家を訪ねるくらい平気だよね……


自分にそう言い聞かせながら、インターフォンすら無い玄関の扉をノックした。
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