マネキン少女
空から見てるから
「警察呼んだの……?」


ヒロの妹が震えた声で発した言葉。


ヒロは生きている。と、信じたくて。自分を励ますようにカナに問いかける。


「うん!お兄ちゃん痛くて動けないと思うから、警察に助けてもらおう!!」
「でも、警察呼んだらカナ達はもう二度とお母さんとお父さんにあえなくなるんでしょう?」


そう言い聞かされていたのか、親に会えなくなるのが嫌なのか、泣き出してしまったカナを慰める。


「大丈夫だよ……。だから、全部本当の事を警察とかに話そう……」


でも、何が大丈夫なのかは分からない。


私の精神状態も、普通じゃないのが分かる。


「分かった!ちゃんと、話す!!」


そんな会話をしているうちに、救急車と消防車、警察が横に止まり話し掛けてきたから、カナが状況を話す。


数分後__


ヒロの家に警察が踏み込んだ。


殴られて動かなくなったと聞いていたから、心から生きている事だけを願って、警察が出てくるのを待ち侘びる。


精神は不安と恐怖によって、蝕まれていく。


もし__


ヒロに何かあったら私は生きて行けない。


最悪の事態を想像してしまって、涙が止まらない。
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