マネキン少女
君を伝えたい
「るるちゃん!またね!!」
「うん!また家に来てね!」
「行く行く!!」


りんとバイバイすると、家に入る。


靴を脱いで並べると、自分の部屋に入った。


1人になれた瞬間、涙が溢れて止まらない。


思い出すのはヒロとの思い出。


私達は、中学を卒業してお金を貯めたら一緒に暮らすはずだった__


いっぱい将来の夢を語ってたのに、親の手によって未来を壊されたんだ。


あんなに純粋だったヒロが、何故こんな目に合わないといけないのだろうか。


何もかも憎いと感じた瞬間、暖かい何かに抱き締められた感じがして、怒りが和らぎ始める不思議な感覚に陥る。


まるで、ヒロに抱き締められたかのような感覚で涙が溢れた。



「ヒロ……。居るの……?」


返事が帰ってくる訳も無い。でも、暖かさを感じる不思議な感覚。


ヒロが私を見守っている。


姿なんて見えないが、そんな風に思ってしまい涙が止まらない。


今までこの部屋で感じた事の無い、安らぎに包まれているとスマホが震えた。


なんだか、今の心地良さに包まれていたくてスマホを無視して瞼を閉じる。


しかし、鳴り止まないスマホを手に取って通話モードに切り替える。
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