マネキン少女
放課後になると、周りは部活に向かった。


1人になったから家に帰ろうと思い、靴箱に向かって上履きからスニーカーに履き替えたその瞬間だった。


「るるちゃん……」


懐かしい声に名前を呼ばれ、振り返る。


視線の先に居たのはユリカで、その表情は今にも泣き出しそうだ。


「ユリカ。久しぶり!!」
「るるちゃん。今日、一緒に帰れたりしないかな……?て、無理だよね?」


りんが言った言葉を思い出す。


ユリカには気を付けて__


大丈夫だよ。
大丈夫。


ユリカは凄く華奢で、私と並ぶと子供みたいに見える。


こんな子が変な事なんかする訳が無い。


「いいよ!」


そう返事をしただけで、涙目で喜ぶユリカ。


私の事をあんな風に言ったのは、なにか理由が有ったに違いないと考えながら、通学路を通り下校する。


「るるちゃん……」
「ん!?」
「前に、才能が無いだなんて言ってごめんなさい……」


今にも消え去りそうな声で、そう呟くユリカ。


「謝らなくても大丈夫!!ユリカは本当の事を言っただけなんだから……」
「違うの!!私ね……。私……」


何か言いたげに口をモゴモゴさせる、ユリカ。

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