マネキン少女
「私ね……。アイドルになりたかったの……」


アイドルー!!


ユリカなら、ピッタリじゃないか!!


「ユリカならなれるよ!!」
「無理なの……。実は、オーディション何回も受けてるんだけど、1次審査すら通らなくて……。なのに、モデルとして活躍しているるるちゃんが羨ましくて……」


なんだ__


涙をポロポロと流しながら、頭を下げたユリカ。


「ごめんなさい!!私っ、るるちゃんが羨ましくて、あんな事言っちゃった!!もちろん本音じゃないし、才能ないのはオーディションすら受からない私……の方だよね……」


私には、ユリカの気持ちが痛い程分かる。


頑張っても仕事なんてなかなか貰えなくて、未だに自分がモデルになれたんだって、実感出来るのは撮影の時くらいだから。


私は運良く、スカウトされたけど……


オーディションも受からないとか続いたら、自分の夢を諦めてしまうかも知れない。


きっとユリカはイライラしていただけなんだ。


友達とか言っておいて、ユリカの夢にすら気づかなかった私は最悪だ__


「ううん!ユリカは悪くないよ」


きっと罪悪感に押し潰されそうになっているから、私は普通でいよう。

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