【コミカライズ】皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―
胸が甘く痛み、ポロポロと涙が溢れた。
「――よく聞け、アイリス」
そして、考えるまもなく、頬に両手を添えられて、ぐしゃぐしゃの顔が無理矢理あげられてしまう。
あまりの酷さにフッと笑ったルイナードは、私の目元に、緩やかに指先を走らせながら言い聞かせる。
「俺は自分のしたことを、罪だと思っている。それは、どう足掻いても変えることができない事実だ」
ふと、思い出す。
『大きな罪を犯しました』
舞踏会の夜、仮面の彼はそう言っていた。
「――だが、これだけは言っておく。俺は誰よりもひ弱で、軟弱な皇帝かもしれないが、お前とお腹の子を⋯⋯誰よりも愛している。それだけは、真実だ」
「――え⋯⋯」
思ってもみない告白に、涙を流しながら、透き通るような美貌をそのまま見つめた。
彼もまた、そこに私を留めながら続けてくれる。
「バカだと思うかもしれないが⋯⋯、ロルシエ家に舞踏会の招待状が届いたと聞いたときから、自分を抑えることができなかった⋯⋯。
アイリスと会うために舞踏会へ出向き、アイリスが欲しいばかりに、帰ろうとしたお前を引き止めた。そして、いつの間にか、お前に愛されたいがために、毎日花を贈るようになっていた。
はじめは、見舞いのつもりで⋯⋯この気持ちは墓場まで持ち去ろうとしたんだが、どんどん俺は貪欲になったようだ。
⋯⋯俺の心には、ずっとずっと、お前しかいない」