秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「おみずがいっぱい!」

 驚き入る私の隣で、恵麻も目を丸くさせながら言う。

 リビングの天井から勢いよくポタポタと水が落ちていて、床や家財道具が水浸しになっていた。絨毯とカーテンも濡れて色が変わっている。

「なんでこんなことに……」

 ここは二階建てのハイツの一階。水漏れにしたって、上の階に人は住んでいなかったはずなのに。

 唐突すぎて事情が呑み込めない。それでもいつまでも驚いていられるわけもなく、私はとりあえず家中のタオルをかき集めて床に投げる。その足でリビングのほかに唯一ある部屋、寝室に行くとそこは無事だった。

 ほっと安堵して、恵麻を寝室で待たせてリビングに戻る。

 大量のタオルで水分を吸い取っていく。しかし、すでにずぶ濡れでまったく追いつかなかった。

 上から水が降ってきている限り、水を拭いても仕方ないか。これって水漏れだよね……。とにかく管理会社に電話しなきゃ。

 冷たい水でキンキンに冷え赤くかじかんだ手で、私はハイツの管理会社に電話をかけた。
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