秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「恵麻ちゃんっていうのか。可愛い名前だね」

 褒められた恵麻は、気恥ずかしそうにはにかむ。

 ふたりが会話をしている。

 想像もしていなかった展開に、私の心臓の音は異様に亢進していた。恵麻は気を良くしたのか、「あのね……」とそのまま話し出す。

「おうちがおみずでいっぱいになっちゃったから、きょうはホテルにとまるんだよ」

 私は慌てて恵麻の口を塞ごうとしたが遅かった。相良さんの眉が片方ぴくりと動くのが見える。

「お水でいっぱい? どういうこと?」

 しまった。すでに異変を察していた相良さんが、それを聞いてこのまま帰してくれるとは思えない。……もう隠せそうにないか。

 無駄な抵抗をする気力さえなかった私は、観念して事の経緯を説明した。
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