秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「どういたしまして。じゃあ、上手にお礼が言えた恵麻ちゃんに見せたいものがあるからこっちにおいで」

 手招きする相良さんのもとへと恵麻が駆け出す。やってきた恵麻を、相良さんが脇の下に手を入れて抱き上げた。視界になにかを捉えた恵麻の目が一瞬にして輝く。

「わぁっ! おこさまランチ!」

「この施設内にあるカフェのモーニングを頼んだんだ。君も朝食食べられそうだったら一緒に食べよう」

 相良さんはこちらに向かって言う。私もテーブルの上へ目線を落とすと、そこにはご飯がクマの形をしたかわいいお子様ランチと、厚切りトーストやオムレツにサラダ。ヨーグルトまでのったおしゃれなプレートがふたつ置いてある。

 相良さんが用意してくれたのか、すでに飲み物まで並んでいた。

「気を遣わせてしまってすみません……」

「俺がしたいと思ってやってるんだから、君が謝る必要なんてないよ。さぁ、温かいうちに食べようか」

 そう言い終えると、相良さんはそのままゆっくりと恵麻を椅子に下ろして座らせる。
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