秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 一緒に過ごして、新しい一面を知るたびに彼女をもっと好きになる。

 安らぎに浸っていた中、俺はある思いを閃くように思い出し、口にした。

「君に聞きたいんだけど」

 改まった声で話す俺に、天音も硬い表情を浮かべる。

 天音たちがここにきた日から頭の中に湧き出ていた疑問が、彼女たちと同じ時間を過ごすほど、そうであるかもしれないと大きく膨らんでいた。

「恵麻ちゃんは俺の子じゃないのかな」

 俺の言葉に、驚いた天音が大きく目を見張る。

「恵麻ちゃんの誕生日が、俺と君が出会った時期から考えると合っているし、なにより恵麻ちゃんの雰囲気が俺とよく似ている」

 一緒に暮らしてから思っていた。見れば見るほど恵麻ちゃんは、俺と似通っている部分があった。

 大きめの二重まぶたの目や、黒々とした長いまつ毛。眉の形や輪郭もよく似ていて、ふとした瞬間に自分の面影を感じた。

 俺は、もしかすると恵麻ちゃんは俺の娘なんじゃないかと考えるようになっていた。
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