偏にきみと白い春
「ていうかどうする? 噂を聞きつけたフェスやらライブ会場やらサークルやらから10個くらい出演の依頼があるんだけど」
「まじで? 普通はこっちから頼むもんなのにな」
「ええ、じゃあこんなに出演依頼がくるってすごいことなんじゃ……」
「すごいよ、綾乃今気づいたの」
浩平の呆れた顔に苦笑いしつつ、興奮はやっぱりおさまらない。今すぐにでももう一度あのステージに乗りたいくらいだ。
「うーんと、まあ、主がそこらへんでやってるイベントとかフェスとか学生合同ライブとかだけど……」
「けど?」
「一個信じられないのが来てるんだよねー……」
「え、何?」
怜も浩平も領に視線を向ける。もちろん私も。
その集中した視線に苦笑いしながら、領はFAXで送られてきた出演依頼の紙を私たちへと差し出した。
「b-station、地方限定だけど、学生バンドをとりあげてるテレビ番組」
そう聞いたとき、きっと私だけじゃなく、他の2人も目が点になっていたことだろう。自分の目を疑いたくなったくらいだ。鳩が豆鉄砲をくらったようになるとはまさにこのこと。
「「テ、テレビーー!?!」」