偏にきみと白い春
◇
「んじゃー今日はここで解散なー!」
あの後、発声練習法や発音練習法とかを領に教えてもらった。あと、少しだけ曲作りを見せてもらったりして。
時間はあっという間に過ぎて、下校時刻はすぐにやってきた。
「じゃあなー!」
「んじゃ」
「バイバイ」
3人に同時にそう言われてちょっと笑えてしまった。私も笑ってバイバイ、と返す。
領とコウヘイは、何やら怜さんに耳打ちをして背を向けて帰って行った。
残された怜さんと私は2人きりだ。
「家、コッチ?」
私が慌てて頷く。怜さんも同じ方向だったのか、「んじゃ行こ」と言って歩き出した。私はその横に急ぐ。
2人で同じ道を歩く。なんだかそれは、とても気まずかった。怜さんとは、まだ2人きりの空間になったことがなかったからだ。
「れ、怜さんもこっちの方向……?」
咄嗟に出たのがそんな言葉。本当、自分でも笑ってしまうくらい不自然な会話。
この前まで、人と話すことすら避けてきた私だったのに、この沈黙が、息苦しいって思ってしまった。
「んじゃー今日はここで解散なー!」
あの後、発声練習法や発音練習法とかを領に教えてもらった。あと、少しだけ曲作りを見せてもらったりして。
時間はあっという間に過ぎて、下校時刻はすぐにやってきた。
「じゃあなー!」
「んじゃ」
「バイバイ」
3人に同時にそう言われてちょっと笑えてしまった。私も笑ってバイバイ、と返す。
領とコウヘイは、何やら怜さんに耳打ちをして背を向けて帰って行った。
残された怜さんと私は2人きりだ。
「家、コッチ?」
私が慌てて頷く。怜さんも同じ方向だったのか、「んじゃ行こ」と言って歩き出した。私はその横に急ぐ。
2人で同じ道を歩く。なんだかそれは、とても気まずかった。怜さんとは、まだ2人きりの空間になったことがなかったからだ。
「れ、怜さんもこっちの方向……?」
咄嗟に出たのがそんな言葉。本当、自分でも笑ってしまうくらい不自然な会話。
この前まで、人と話すことすら避けてきた私だったのに、この沈黙が、息苦しいって思ってしまった。