偏にきみと白い春
◇
「いい朝だなー! バンド日和!」
「なんじゃそら」
領がぐいっと空に向かって両手を伸ばす。呆れたように笑う怜のツッコミもお構いなしだ。
「綾乃、緊張してる?」
「う、うん……」
「ガッチガチだなー、もっと気楽でダイジョーブだって!」
朝早く、借りた小さなスタジオに集まって最終打ち合わせを済ませた。何度も歌った既存バンドのコピー曲と、領が作詞作曲したはるとうたたねオリジナル曲のふたつ。
───そう、ついに始めてのライブの日がやってきた。
歌うのは2曲、時間にしたら15分にも満たないけれど。
「綾乃、初ステージだもんなー」
「領は無邪気すぎだ」
「浩平がいつも冷静すぎるんだろー?!」
「ハイハイ、時間ねーからサッサと行くよ」
怜のひとことに「はーい」と領が返事をしてスタジオを出る。本番まであと数時間、まずは会場へと向かわなきゃ。
実は、昨日から緊張が解けない。毎日練習してるとはいえ、ひとりで人前で歌うのなんて人生で初めてのことだ。
「つーか、その前に衣装でしょーが。ウチが綾乃のことめっちゃかわいくすっから」
怜が誇らしげにそう言うと。
「それもそうじゃん! たのしみだなー」
と無邪気に領はわらう。上機嫌だ、きっとステージに立つのがすごく楽しみなんだろうなあ。
「いい朝だなー! バンド日和!」
「なんじゃそら」
領がぐいっと空に向かって両手を伸ばす。呆れたように笑う怜のツッコミもお構いなしだ。
「綾乃、緊張してる?」
「う、うん……」
「ガッチガチだなー、もっと気楽でダイジョーブだって!」
朝早く、借りた小さなスタジオに集まって最終打ち合わせを済ませた。何度も歌った既存バンドのコピー曲と、領が作詞作曲したはるとうたたねオリジナル曲のふたつ。
───そう、ついに始めてのライブの日がやってきた。
歌うのは2曲、時間にしたら15分にも満たないけれど。
「綾乃、初ステージだもんなー」
「領は無邪気すぎだ」
「浩平がいつも冷静すぎるんだろー?!」
「ハイハイ、時間ねーからサッサと行くよ」
怜のひとことに「はーい」と領が返事をしてスタジオを出る。本番まであと数時間、まずは会場へと向かわなきゃ。
実は、昨日から緊張が解けない。毎日練習してるとはいえ、ひとりで人前で歌うのなんて人生で初めてのことだ。
「つーか、その前に衣装でしょーが。ウチが綾乃のことめっちゃかわいくすっから」
怜が誇らしげにそう言うと。
「それもそうじゃん! たのしみだなー」
と無邪気に領はわらう。上機嫌だ、きっとステージに立つのがすごく楽しみなんだろうなあ。