初恋交響楽
「ですけど、もし応じてくれなかった場合はどうするんですか?」

今までのこともあるし、もしかしたら離婚に応じてくれないと言う場合もある。

「その場合のことも考えております。

“このことが世間に知られたら『成田屋』は世間の笑い者になる、信用にも深く関わる”と副社長に言えば応じてくれることでしょう」

「なるほど…」

会社を盾に出すと言う訳か…。

しっかりと立てられた作戦内容に、わたしは思わず感心をしてしまった。

わたしが野田さんと不倫をしていることをネタに、さらには会社を盾にするとなったら、さすがの大国くんも離婚に応じてくれるはずだ。

「いかがでしょうか?」

そう聞いてきた寺島さんに、
「とてもいいと思います」

わたしは首を縦に振ってうなずいて返事をした。
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