初恋交響楽
Chapter8*こじらせた初恋の行く末
「なあ、大国」

「はい?」

「お前、同じクラスの西尾と仲がいいんだってな?」

中学時代の夢を見るのは、大国くんと結婚することになった日以来である。

職員室に教室の鍵を届けて下駄箱へ向かって話し声が聞こえたので、とっさに隠れるところまでは一緒…のはずなんだけど、いつもわたしが見ている夢と違うことに気づいた。

「一緒にクラス委員をしているから…まあ、同じクラスの女子たちの中では比較的にしゃべる方かなとは思うけど」

「この間、西尾と一緒に帰ったんだってな?」

「この間って…もしかして、先週の木曜日のことかな?

あれは西尾さんがかさを忘れて困っていたみたいだから一緒に帰っただけであって…」

誰かに話しかけられている大国くんは困っている。
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