初恋交響楽
「あらら…」

「す、すみません…」

何事だと言わんばかりに見つめてくるその視線に耐えきれなくて、わたしたちは頭を下げることしかできなかった。

「とりあえず、話しあいをした方がいいと思いますよ?

と言うか…お互いがお互いのことを好きなはずなのに、何でそんなにもすれ違っているんですか?

思いをこじらせていると言うヤツですよね?」

そう言った野田さんに、わたしたちはお互いの顔を見あわせた。

「西尾さん」

「はい」

わたしが返事をしたことを確認すると、
「本当に、もう行こうか?」
と、大国くんが声をかけてきた。

「はい、行きましょうか…」

わたしは返事をすると、2人してその場から離れたのだった。
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