Crush~いつも君を想う~

5-2*全部大切にする

「結構歩いたね…」

そう呟いた私に、
「5分くらいを予想してたけど、まさか1時間も歩くことになるとは思わなかったよ…」
と、林太郎さんは返事をした。

バスもなければタクシーも走っていない。

これが都会と田舎の差なんだなと、私たちはそんなことを思った。

「ここだね」

目の前にある白い建物に、私は言った。

「ここか…」

林太郎さんはそう呟いた後で気持ちを落ち着かせるために深呼吸をした。

彼の産みの母がいるこの病院に、いよいよ対面するのである。

「俺がかつて産んだ自分の子供だって言うことがわかるかな?」

そう言った林太郎さんに、
「それは私もよくわからないけれど」

私はそう返すことしかできなかった。

林太郎さんが落ち着いたのを確認すると、私たちは病院に足を踏み入れた。
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