Crush~いつも君を想う~
林太郎さんから話を聞いていたのかも知れない。

返事をした私に中年女性は微笑むと、
「初めまして、林太郎の母です」
と、言った。

「えっ、あっ…!?」

お母さんでしたか!

まさかの母親との対面に私は戸惑うことしかできなかった。

「は、初めまして…本條一果です…」

自分の名前を言って、ペコリと頭を下げた。

途中で噛まなかったと思うし、間違えていないと思いたい…。

と言うか、そうであって欲しい…。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。

林太郎とおつきあいをされているんでしょう?」

「は、はい…」

私のことを知っていても当然か…。

そう言えば、お見合いの時は1回も顔をあわせていなかったな。
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