八木澤くんは不器用に想う
学校に着いて靴を履き替えていたら
隣から手が伸びてきて、私の上の靴箱を開けた。
「……あ」
「…はよ…って、
どうしたんだよその顔」
「……なんでもない」
おはよう、とだけ返して、
彼に背を向けた。
「……悪い。昨日、約束破って」
「……別に。
ラーメン食べる気分じゃなかったし、気にしなくていいよ」
スタスタと教室に向かって歩き出す。
すると後ろから「安木」って呼ばれて、手首を掴まれた。
「……」
「教室一緒なのに、先行くなよ」
「……一緒に行く義務なんてない」
手を振り払って、八木澤くんの方を見ないまま逃げるように教室に向かった。