八木澤くんは不器用に想う

もしかして、と思って、パッと顔をあげたら、



真っ直ぐ私を見ていた八木澤くんと、視線が重なった。




「……やっとこっち見た」



「あ…え…？」



「入試の時みたい。
俺の視線に、全然気付かねーの」



「…や、ぎさわ、くん…え？
八木澤くんの好きな子、って…」



「……ここまで言っても、わかんねぇ？
それとも、わかんねぇフリしてんの？」




だって、



自惚れかも、しれないじゃん…。




「う…ぬぼれ、かも、しれない…から」



「自惚れていいよ。
お前の考えてることで、合ってるから」



「八木澤くんの好きな子って…

……わた、し？」