素直になりたい。
そうこうしているうちに、昇降口に辿り着いた。

するとそこには、見覚えのある顔とそれを取り巻く女子が10人ほどがいた。


「生田先輩、大変おこがましいのですが...ボタンくださいっ!どこのでも構いませんので!」

「生田くん、アタシにもボタンちょーだい!」


私達は顔を付き合わせて笑った。


「千咲ちゃんのカレシ、すっごい人気じゃん。嫉妬しない?」

「しないよ。だって、全部のボタンが盗られても、ワタシには優杜本人が残るから」

「千咲ちゃん、言うね」

「ひゅ~ひゅ~」


結実がエセ口笛を吹くと、生田くんがこちらに気づいて駆け寄ってきた。

後輩たちが円の外から見守る。


「皆で何してたの?」

「校内散策だよぉ」

「結実のスマホで撮りながら見て回ってたの」

「あっ、そうだ。ちょっと、ごめん。その自撮り棒、貸してもらえる?」

「まぁ、いいけど」


私には察しがついた。

気の利く生田くんがやることといえば...。


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