素直になりたい。
「直禾、見て。桜咲いた」

「あぁ、ほんとだ。綺麗...」


家から学校までは徒歩30分。

歩くのは歩くけど、良い運動だし、

こうやって2人で並んで登校出来るのが嬉しい。


「あっ、直禾の頭に桜ついてる」

「えっ、嘘」


彼が取ってひゅ~っと吐息を吐いて

穏やかな春風に乗せた。

そして、左手が私の右手に触れる。


「直禾の手、いっつも冷たいから暖めてあげる」

「えぇ、何それ」


なんて言いながらも、くすぐったかったりして。

まだまだ素直になれない私だけど、

少しずつ、

この人の隣で

この人のお陰で

素直になってきている。

あ、でも。

まだ、言ってなかったな。

私があの高校に入った本当の理由。

でも、聞いて来ないし、

この話は近い将来に取っておこう。

きっと、それを伝える機会が

あと4年後に待ってる、はず。


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