素直になりたい。
「よいしょっと」

「うぇっ!」


いつの日かと同じように、背後から脇の下に手を入れられ、ひょいっと持ち上げられた。

それはいいんだけど...

いや、良くない。

私が王子様の手に触れられるチャンスだったのに...

邪魔しやがって...!

私は振り返り、思いきり睨み付けた。

それはもうヤンキーがガンを飛ばすみたいな感じで。


「ははは!変な顔」

「笑わないで!」

「ははは!ほんとどんくさいよな。バーカ」


――ピシッ。


「いたっ」


またデコピンされた。

こりないやつだ。

やっぱり何か復讐せねば。

あ、そうだ。

コーラでも買ってぶっかけてやろうか。

って、思ったけど、服がそもそも黒だし。

なら、メロンソーダ...。


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