i -アイ-

碓氷司side





空き教室に入る。


目の前の机を力任せに蹴飛ばす。


ああ、かっこわるい。


熱しやすいタイプらしい、か。


俺は今何にこんなに腹を立ててるんだろうな。

REIGNである俺らをアイツがナメてるからか?

何が起きているのか把握出来ていないからか?


アイツを少し分かった気になっていたのに、突き放されたからか?


……全部か。


くそだせえな。
俺はアイツより生ぬるいところにいることを思い知ったのかもしれない。



「三國さん、アイツはなんなんだ」


机に座り項垂れる俺を静観する三國さんに問いかける。


「それは、お前がアイツと付き合っていく上で知った方がいい」


……それは、そうだ。

でも、教えて欲しいと思うのは甘えか。


「アイツが怖いか?」


怖い……得体がしれない。

俺より確実に先のことを見据えて動いてる。


三國さんに初めて会った時よりもずっと、怖い。


「どうする。校庭いくかー?」


呑気に俺に問いかける三國さん。



「三國さんは怖くないのか。久遠のこと」



三國さんを見れば、三國さんはジッと俺を見て、上を見上げた。



「怖い、かもなあ。今にも消えそうで」


そう呟く三國さんが消えそうだ。


「ま、今はREIGNを狙ってるやつらを潰すことだけ考えることにする」


そう俯いた三國さんは、両手をポケットに突っ込んで、


「ほら行くぞ」


と笑った。



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