i -アイ-




暁の言葉に、はぁ、とため息をつく三國。



「純粋で真っ直ぐで、でも不器用で。藍は、昔の自分を蓮に重ねてるんだろうな」


今の久遠は、どれが本当で偽りか見分けがつかなければ掴みどころがない。


それが元の性格ではないことを三國の言葉は意味している。



「俺は蓮を初めて見た時、藍に似てるなって思った」



「……え?暁が蓮連れてきた時って、大分蓮荒れてただろ?」



「だな。藍も、そんな時期があった」


そういう暁は、辛そうで。


「あったな。俺らは、見てることしか出来なかった」


三國も同様だった。



「藍を勝手にREIGNに入れたこと、相談しなかったこと、悪かった。……けど、これ以上あいつを1人にしておけなかった。」



守るものが増えちゃってさ。


そう通話をしながら言ったあいつの顔は、どこか嬉しそうだった。

1人にしておけなかった。

その言葉通り、どれだけの長い時間を三國と暁が久遠と過ごしていたかを物語る。



「今更謝らないでくれる?」


ふっ、と鼻で笑う優介。


「久遠はこの短い間でも利益を生んでる。もしこの先不利益を生んだとしても、利益を上回らなければ問題はないでしょ。」


優介らしい回答だ。




< 139 / 457 >

この作品をシェア

pagetop