青春の花は素顔に咲く


「ボクは嫌だ」

 生徒会長の元へあたしと白銀が行って真っ先に言われたのが、この言葉である。

「え、あの。生徒会長……今、なんて」
「ボクは嫌だと言ったんだよ、黒野君」
「どうして!? 色々優待特典あるのに!? 推薦だって夢じゃないのに!?」
「それでもボクは嫌だ」

 分厚い眼鏡を触りながら生徒会長は言った。

「……そんな、生徒会長旬谷雅人(しゅんたに まさと)としてピッタリの役目じゃないですか! 人のためになる、善行じゃないですか」
「黒野君のためなら、ボクは動くよ。でも白銀君だろう? 彼は……」
「事情があるって話は聞きましたよね」
「聞いたよ。でも、嫌だ。事情について詳しくも聞いたしそれを言いふらす気はない。だけど」
「お願いしますよ、生徒会長!」
「オレからも頼む。どうか……!」
「絶対に嫌だね」
「ええ……なんでですか?」

 あたしはしょんぼりしながら生徒会長に詰め寄る。

 真っ赤な顔をしてそっぽを向く生徒会長。
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