青春の花は素顔に咲く


 夢を見た。誰かが泣いていて、あたしが誰かに何かを言う夢。
 小さなころの夢だったように思えるけれど、起きた頃には全く内容が思い出せなかった。

「はあ……昨日は疲れたなあ」

 思わず独り言をつぶやきながら伸びをする。
 なんていうか、濃い一日だった。
 白銀についていろいろなことを知りすぎた気がする。

「とりあえず、学校行こう……」

 そう言いながらあたしはネグリジェからゴスロリに着替える。
 ボンヤリとしていると白銀の素顔が頭にちらつく。
 慌てて首を振り、考えないようにしようとする、のに。

(何で、消えてくれないの! あの無駄にきれいな顔!)

 ああもう。まどろっこしいなあ。
 イライラしながら視線動かすと、雑誌の表紙の白銀が微笑んでいてとっさに雑誌を投げた。

「芽以ちゃん?」
「なんでもないよ、おばあちゃんっ。朝ご飯作るねっ」
「熱でもあるのかい? 顔が真っ赤だよ?」
「ないない! 全然大丈夫だから」
「無理しないでね、芽以ちゃん」
「大丈夫!」

 早口でまくしたてながらあたしは台所へ立った。
 なぜか何度も指を切りかけたのは、きっと疲れてるからに違いない。







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