湿気た愛
まだここに来て日が浅いせいか、全く全貌が見えてこない。

カイが自分から話を振ることは滅多にない、というより全くない。

知っていることを全部教えて欲しいけれど、カイは私以上に闇を抱えてそうだから、安易に尋ねることは出来なかった。

そして私は、初めにお母さんがカイに言っていた、逃げようとしたらどうなるか、という言葉を完全に忘れていた_。


それからまもなくして、カイは約束通り、おにぎりと共に降りてきたお母さんに、服のことを言ってくれた。

「また後で来るよ」

そう言ったということは、私の服と、新しいタオルと、カイの服もまとめて持ってくるのだろう。

初めてカイがお母さんと会話しているところを目の当たりにした。

お互いの言葉に棘が含まれているのを感じた。


また質素で冷たい塩おにぎり貪っているうちに、ドアが開いた。

今度はあの日以来のお姉さん。
私を一瞥するなり、無言で、大きなダンボールをドサッと音を立てて置いた。


< 24 / 51 >

この作品をシェア

pagetop