真夜中のサイコパス
友達の話に夢中になって
私は教室の窓際の席で優子の話を聞いているうちに、優子が話す浜中美澄に強い興味を持ち始めた。


そして、もったいぶったように話を区切ってニコリと笑った優子に、私は少し不機嫌になってこう言った。


「どうして話が盛り上がってきたところで話を区切るの?

里山高校のアイドル、浜中美澄がこれからどうなるのか知りたいのに」


「慌てないでよ、咲良。

私たちにはまだ放課後の時間がたっぷりと残されているのだ」


「それはそうだけどさ、めっちゃ美人だった美澄が顔に火傷を負って、どんな風に変わっちゃうのか気になるじゃん」


「だよね。

女子高生は顔が命だもんね」


「命とまでは言わないけどさ、もしも自分が美澄みたいになったら死にたくなる。

学校のアイドルでみんなからチヤホヤされていたのに」


「アイドルの人気は儚く終わる運命なんだよ。

私たちにみたいに平凡なのが一番なんだよ」


「そうかなぁ……」


私はそうつぶやいて、少しうつ向き、こう言った。


「私はかわいい女の子に生まれて、男子からチヤホヤされたいなぁ。

そしたらやっぱり、恋も上手くいくと思うし……。

好きな人からも愛されるし……」


私はそう言いながら、今の里山高校のアイドル、木村菜々子の顔を思い浮かべた。


もしも私があんなにかわいい女子高生だったら、なにをやっても上手くいく気がする。


男子からはモテて、友達もいっぱいいて、拓実とも仲が良くて……。


きっと拓実は木村菜々子が好きなんだと思う。


いつも拓実を見ている私だから、拓実の態度を見ていればわかってしまう。


菜々子は本当にかわいくて、私とは比べものにならない人だから……。
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