異常な君は、異常なモノが分からない

 早くて半年、長くて三年。
 実験もそれなりにやってはみたけれど、確証を得られているのはこれぐらいだったから、あとはただ、待っていた。パソコンと携帯で彼女の日常を見守りながら、その日が来るのをずっと、僕は待っていた。
 三日も発見が遅れたのは想定外だったけれど、さして支障はない。通夜が終わって、日付が変わるより一時間前にたどり着いたのは、月に一度、茶葉を持って通っていた風情ある日本家屋。きっと君は今頃、遺書をメモ書きだとでも称して、書き連ねているのだろう。

「…………ふふ、」

 嗚呼、ついに。ようやくだ。
 気を抜けば、にたりとあがりそうになる口角を必死に抑えながら、僕は呼び鈴を鳴らした。


 異常な僕 ー終ー
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