エリート御曹司は淫らな執愛を容赦しない~初夜に繋がる結婚事情~
「愛菜さん、あなたのことがずっと好きです。それこそ、出会った頃から、僕の興味はあなたひとり」
「嘘言わないでよ……。あなたはKODOが欲しいだけでしょう」

言いながら、そんなはずもないことはわかっていた。この男にとって、父の会社などたいして意味もない資産だ。

「結婚なんか、会社を乗っ取る方便でしょう?」
「社長への恩返し、最初の理由はそれですが、もう随分前から僕がここにいる理由はあなたです。愛菜さん」

優雅ははっきりと言い放った。熱情と狂気を孕んだ瞳で、私を見つめて。

「あなたはこの土地に戻ってきてくれた。僕は、もうあなたを放す気はない」

じりと一歩下がった私を、優雅が再び捕まえる。
ぎゅっと抱き締められ、恐怖とも困惑ともつかない気持ちになった。精神的に負けたくないのに、私は今この男の高密度の感情に混乱している。

「先ほどは強引なことをしてすみません。あなたとの最初のキスは、もう少しムードのある場所でと思っていたのに」
「馬鹿じゃないの……放してよ……」
「もう一度してもいいですか?」

優雅が鼻と鼻がくっつきそうな距離で言う。混乱の一方で、私の心臓はどうしようもないほど早鐘を打っていた。

「ひどくはしません」
「待って」
「どうか、許してください。愛しています、愛菜さん」

合意なんて待ってくれない。優雅の唇が再び私の唇と重なった。
駄目だと思いつつ、最後の最後で私は拒否をやめてしまった。
目を閉じ、キスに身をゆだねる。唇から優雅の熱心な愛情が伝わってくる。

ああ、もう。この男、私に本気だ。
腹の見えない笑顔より、からかうようなアプローチより、キスひとつですべて伝わってしまう。この男の気持ちが。
わけがわからない。どうして、私のことが好きなのよ。
抱きすくめられ、甘いキスを与えられながら、私は混乱していた。


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