エリート御曹司は淫らな執愛を容赦しない~初夜に繋がる結婚事情~
「そういうことをされるのは、私も面白くないわ」
「愛菜さん」
「不快よ。あなたの全部が」

オフィスを出ようと、優雅の横をすり抜ける。瞬間、大きな手に腕を掴まれた。そのまま引き寄せられる。

私はどこかで油断していたのだ。
この従順な騎士は、思わせぶりなことは言うけれど、実際強引なことはしてこない。そう思っていた。
しかし、優雅は私をとらえ、逃がすまいと抱き寄せ、唇を重ねた。強い力と勢いに、私は逃げられなかった。

「んッ」

我にかえって暴れるけれど、まったく力が緩まない。むしろ、唇の隙間から舌が歯列を割って入ってきた。

「やっ、んっ」

強引になされるキス。拘束され、逃げられない私はされるがままだ。舌を絡められ、唾液を吸われ、何度も角度を変えて交わってくる唇を受け入れる。

「……やめてっ!」

キスが途切れた隙に必死で身をよじり、優雅の抱擁から抜け出した。一歩引いて優雅を睨むものの、衝撃で手足ががくがく震えていた。

「嫉妬させておいて、可愛らしく怒る。困った人だ。僕の気を引いているんですか?」
「……なにを……言って……」
「他の男の名前を聞いて冷静でいられるほど、僕も大人ではないんですよ。そんなことされたら、あなたをこの場で僕のものにしてしまいたくなる」

優雅は微笑んでいた。しかし、その笑顔は完全にいつもの笑顔とは別物だった。凶暴で野蛮な肉食獣のような笑顔だ。
これが、きっとこの男の本性。
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