カレシとお付き合い② 森君と杏珠




 結局、私は消防隊員に救助された。
 ありえない体験だった。

 やっと木から降りれて、下で待っていてくれた森君に保護された。

 彼は、上着を脱いで私にかけてくれて、その上から腕で囲ってくれて、私はしがみついた。
香水と、乱れたシャツと、急いでくれたんだ⋯⋯ 彼は汗かいてて、心臓が早くドキドキしているのが聞こえた。

 一生忘れない、と感じた。この瞬間。
彼は左手で私の後頭部を抱いて、強く引き寄せてくれて、かがみこんで髪や耳や頬が顔に触れて、耳元で、


「ごめん」


と言う。

 私は首を振った。
来てくれた。
 こんなに急いで、心配してくれて、私のために。

 森君の声も少し震えてるなんて、想像もしなかった。

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