契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 これ以上脇見をするわけにもいかず、マンション先の道を曲がり停車する。

 急いで車を降り道を戻ると、そこには佑華と、見知らぬスーツの男が対面して話をしていた。

 佑華の腕には、なぜだか幼い女の子が抱かれている。

 やがて佑華の腕から男の手に子どもが引き渡され、男は停車している高級車に子どもを乗せると走り去っていった。

 車に向かって手を振った佑華は、マンションのエントランスに向かっていく。

 目撃してしまった光景に、頭の中は混乱を極める。


 もしかして、見てはいけないものを見てしまったのか……?

 今の男は、一体何者なのか。

 あの子どもは? 誰の子なんだ?


 車に戻り運転席に乗り込んだものの、ハザードランプを焚いたまましばらくその場を動けなかった。


< 186 / 246 >

この作品をシェア

pagetop