契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 誕生日のプレゼントは……散々考えた結果、いい物が思い浮かばなかった。

 考えてみたら、男性へのプレゼント経験というものに乏しい人生を歩んできているが故、こういう時にどうしたらいいのかよくわからない。

 大人、男性、誕生日プレゼント、で検索してみても、途轍もない情報量に逆に悩んでしまった。

 そうして考えているうちに、ふと、私から誕生日プレゼントをもらっても微妙なんじゃないかという結論に行き着いた。

 形として残るものは、もしかしたらもらっても困らせてしまうかもしれない。

 本物の彼女や奥さんだったら嬉しいものだろうけど、私は立場的に微妙だ。

 そう思うと、手作りケーキあたりがライトでいいんじゃないかとすっきりした。


「おお……ロールケーキの生地って意外と簡単なんだな」


 オーブンで焼き上がった生地を取り出し、独り言を呟いていたそんな時、玄関で物音がしてハッとした。


 え……?


 七央さんが帰ってくるのは、明日の誕生日の日。

 今日は帰ってくるはずがない。

 だけど、こんなセキュリティ万全のマンションで、不法侵入があるなんて考えにくい。


 ということは、七央さんが……?


 半信半疑のまま、キッチンを出て玄関へと向かう。

 玄関を上がってきたのはやっぱり七央さんで、有り得ない心配からは一瞬で解放された。


 でも、なんで今日!?

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