契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました

side Nao




 まだまだ残暑が厳しい九月初旬。

 仕事を終えて見たスマートフォンには、【五階の展望デッキのカフェにいる。外の席だよ】と美鈴からメッセージが入っていた。

 既読だけつけてそのまま指定された場所へと向かう。


『私たちの契約結婚……そろそろ終わりにしませんか?』


 ちょうど一週間前、突然切り出された佑華からの契約結婚終了の提案。

 一体、何がどうなってそんな話になったのか。俺には何がなんだかさっぱりわからなかった。

 その瞬間、そう言われてしまうあれこれが頭の中を駆け巡って行った。

 何か約束を破ってしまったか。

 それとも、あの誕生日の日に自制が利かず抱いてしまったことがやはりまずかったのか。

 しかし、様々思い浮かんだことはどれも直接関係がなかった。

 その日、佑華は美鈴とふたりで会ったという。

 その時に何を話したのかはわからないけれど、うまくいっていると思っていた今の生活を終わらせたいなどという考えに至る何かがあったに違いない。

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