契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「だから、優しくないって言ってたんですか?」
横に寝そべる七央さんに目を向けると、どこか力なく笑みを見せた。
「佑華にまで、物足りないつまらない男だと思われたくないと思ったんだろうな、自然と」
「私は、そんなこと言った人たちとは違います」
わかってほしくて、七央さんの首に両手を回して抱きつく。
温かな手が頭に触れ、私の髪を梳くように指を通した。
「優しい七央さんもどんな七央さんも好き。だから、もうそんなトラウマからは解放されてください。私が、証明してみせます」
自信満々に宣言した私を、七央さんはくすっと笑い「ありがとう」と受け入れてくれる。
私をそっと離し、優しい口づけを落とした。
「帰ったら、これからのことについて話し合おう」
「これからのこと……?」
小首を傾げると、七央さんは小さく頷く。
「今の契約結婚の、内容を変更する? それとも……」
ふたり同時に「契約終了?」と声がはもる。
顔を見合わせて笑うと、本当の幸せがやっと動き始めたのを感じていた。
Fin