契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
胸を上下させて無防備にベッドに横たわる私へ、七央さんがダウンケットをかけてくれる。
何も身に着けず横たわっている恥ずかしさよりも、何度も昇りつめて果てた脱力感のほうが強く動けなくなっていた。
そんなまだ息の荒い私の横に寄り添った七央さんは、黙って持ってきたペットボトルのミネラルウォーターをキャップを開け差し出してくれる。
「ありがとうございます。優しいな」
なんとか両手でペットボトルを受け取り、上体を起こして喉を潤した。
「優しいと言われることに、ずっと苦しめられてきた」
「え?」
唐突に告げられた言葉に目を丸くしてしまう。
「もう、遠い昔の話だけどな。優しいけど、物足りない、つまらない。何度もそんなことを言われて苦い思いをした。だから、恋愛関係というものがわからなくなった」
以前、恋愛結婚をしようと思わなかったのかと聞いた時、七央さんは話をしかけて誤魔化した。
一緒にいて、自然と気遣ってくれるところはやろうとしてではなく身についている優しさなんだと、時間を共有していて感じてきたところ。
思い返せば、優しいと何気なく言った時、七央さんは否定するような態度や言葉を返してきていた。
違和感は感じていたけれど、そういうことだったのかと繋がる。